2013年5月29日水曜日

■写真撮影ついて その3.


 シャッターチャンスを重要視する記述が多いので、なぜだろうと思われたと思う。これは大学時代の絵画・油絵の単位を危うく取り損ねそうになった或る事件が発端。
 大学の教育学部美術専攻科に在籍中、油絵の教授から「シンジョー君は人物を描かないが何故かね?きちんと人物を描かなければ単位は上げられないよ!描かないまっとうな理由でもあるのなら話は別だがね・・・。」と言われてしまったのだ。

 3日間の猶予の後、全学年の美術科学生のいる前でその理由を述べる一種の裁判の様な集会が開かれてしまった。そこでこう述べた。「人間を描けない理由を説明します、人間が美しい・魅力有ると思える時はどんな時か・・・大口を開けて笑っている時、感動のあまり泣いている時、怒髪天を突くような怒りの時、つまり感情をあらわにしている時だと思う・・・・しかし歴代の名画にそんな絵が有るか?せいぜい笑っているか否か問題になるようなモナリザが精いっぱいではないか?

 何故、歴代の名画に無いか?それはそういう瞬間をモデルに求めることは不可能だし、一瞬の筋肉の動きや目の表情のナセル事だから油絵で描く事自体が難しいのだと思う、したがって僕はそういう人物を描写するには「写真」という方法が一番適していると思う。昔は写真と云う技術が無かったので肖像画や似顔絵という技術が発達したが今は中世ではない。写真も美術の一種だと思う、それが一番生かされるのが人物描写ではないかと思う。だから僕は描かない・・・。22歳にしては生意気だったとは思うが、今でもこの考えに変わりはない。

 この後ほぼ全員が拍手し一つの考えではあると同意してくれて教授は単位を授けざるを得なかった。これが私がシャッターチャンスの重要性をまず挙げるという根拠になっている。「瞬間」を切り取る!これが画像が迫力を持つか否か、ヤマセミが死んでいるか生きているか・・の分かれ目になると思っている。基本的に飛行機も野鳥も空を飛ぶモノ、格納庫や飛行場に駐機している飛行機より飛んでいる飛行機の方が美しい、野鳥だって木の枝に留まっている時より、水に浮いている時より空を飛んでいる時の方が遥かに美しいし主翼のフォルムや色もよく判る。だから飛行機も野鳥も飛ぶ姿を画像に収めたいと思うのだ。

 色やピントは有る程度パソコンの画像処理で調整、増幅できるが、シャッターチャンスだけはパソコン処理できない。撮影者の技量と努力と精進が確実に出てしまう。どんなに高いカメラやレンズを持ってしても、広告宣伝用の商品などのスタジオ撮影と違って自然物相手の撮影は撮影者の技量・経験+事前調査・研究に運が味方しなければ成就しない。

 
大学在学中時代の自室