2015年3月5日木曜日

絶滅危惧種クロツラヘラサギが大都市熊本の真ん中江津湖に!Endangered species Black-faced Spoonbill flies to the middle Edzu lake of a big city Kumamoto !

 今回熊本県・阿蘇・人吉・有明沿岸への探鳥ツアーで一番驚いたのは、人口70万人を越えて国内最後の政令指定都市になった熊本市のど真ん中にある江津湖(えづご)にあの絶滅危惧種クロツラヘラサギが飛来している事だった。
 熊本県は現在日本国内へのクロツラヘラサギの飛来数で最大のエリアになっており、今年は100羽を越えたようだ。これは八代でその保護や環境整備に努力されている高野茂樹先生(日本野鳥の会熊本県支部長)はじめ関係者の方々の努力の賜物だとおもう。

 繁殖活動そのものは韓国仁川(インチョン)人工島での200羽の様子が昨年NHKワイルドライフで放映されたとおりだが、そのうちの一部も熊本県に飛来している様だ。豊岡のコウノトリや佐渡のトキ、あるいは釧路の鶴居村のタンチョウ等と違って餌を与えて繁殖の手伝いをする訳では無く自然環境整備の中での自然増をサポートする形で増えているので、その増え方はゆっくりだが、確実に一歩一歩増えているようだ。

 一方この熊本市の住宅街というか人口密集地に位置する江津湖は水前寺公園の湧水などを源とした加勢川の河川膨張湖で野鳥の宝庫だ。筆者も2012年に「江津湖の野鳥」という簡単な写真集小冊子(72P)を自費出版して無償でお配りした縁の深いエリアだ。その写真集にも最後のほうに地元で野鳥観察保護をされている山田龍雄氏が撮影したクロツラヘラサギの写真を掲載させていただいたが、今回自分で始めて目の前に居る姿を撮影できた。

 逃げない!というより逆に人間を観察しているようだった。主翼の先端がまだ黒く、くちばしもまだ真っ黒ではなく多少褐色なので幼鳥・若鳥と思われるがなんとも不思議な光景だった。詳しい方に話を聴いたら毎日来るとは限らないし、同じ場所に来るとも限らない。したがってこのブログに出ていたから行ったけれど観られなかったとクレームを付けられても困る。

 以前にもそういうクレームをお問い合わせコーナーから寄越した方、更には人が押し寄せるからブログなどに掲載するなと言う珍しい野鳥を独り占めしたがる心の狭い方(なぜか野鳥愛好者に多い)も居た。このクロツラヘラサギは熊本県・福岡県の広報などで何処へ行けば観る事が出来ると公表されている著名な野鳥なのだ。むしろ、絶滅危惧種が江津湖を居心地が良いと沢山飛来する様になれば悦ばしい事だと思うが・・・。

この日居たのは下江津湖という南東側に位置するエリアの端のほうで道路から80mの距離。

直ぐ後ろをジョギングする人が沢山居る場所だった。

距離15mには観察用の木道もある場所で折りしもストレッチをする方が居た。

最初はコサギと一緒に採餌を行っていた。

コウノトリ同様、水中・泥中をスプーンのようなくちばしで探りセンサーで感知した餌を獲る。

一旦高く飛んでしまったが、ものの30秒でほぼ同じ場所に降り立った。若鳥のようだ。

降り立った場所は芝生の上。初めてのシーンだった。滞在時間は20分程度。

左見て

右見て、片足上げてそのまま5分。

木道に居る観察者の子供がはしゃぐと、首を傾げる等なかなかユーモアたっぷりのしぐさだった。

翌日は800m離れた上江津湖のほうに二羽飛来したというからいつ何処に現れるか判らない。勿論来ない方が多いかもしれない。もしご近所で江津湖に行かれて観察出来た幸運な方々は、あまり近づきすぎず脅かさないで上げて欲しい。そうすれば餌が豊富で安全な環境と認識して、今後仲間を沢山呼んでくるに違いない。