2015年6月16日火曜日

今年の人吉エリア・ヤマセミ繁殖レポート その2。 This is the breeding report of Crested kingfisher at Hitoyoshi area. Part2.

 残念ながら今年も昨年に続いて人吉エリアにおけるヤマセミの子連れファミリーの生態は観察できなかったようだ。昨年在るポイントで3羽の巣立ちをじっくり観察・撮影し、色々な新発見を記録できたのだが日程の関係で東京に戻らざるを得なかった為、そのまま幼鳥教育の場面を継続できなかった事が悔やまれる。2年前までは木山の淵付近で4羽もの幼鳥をまとめて教育していたファミリーを毎年観察できたのだが、昨年の長崎国体カヌー競技誘致以降ヤマセミが寄り付かなくなってしまった。非常に残念だ。

一方で、天敵にやられて繁殖自体が中断してしまったヤマセミファミリーも数箇所有り、自然界で生きて行く難しさを散々感じさせられた。今年も偶然人吉に着いた日に各ポイントを回っている最中偶然営巣中の巣穴を発見!
 情報を得ていたもう1箇所と共に2箇所の観察を行おうとしたが、またしても天敵らしきモノの影響で繁殖が失敗に終わってしまった。その様子は動画や音声記録で「何かが起こった」事だけは理解できた。
 残念ながら今までのように見通しの良い環境ではなかったので、昨年の2家族のように青大将が巣穴に入って行く場面や、青大将が雛を丸呑みにした様子や、親鳥の献身的な攻撃で高さ10mの巣穴から落下して仮死状態になるまでの一部始終を観察・記録化する事はできなかった。

 しかし、よく視えないなりに、営巣中の巣穴に対する親鳥の監視状況や、巣穴の雛に集中している親鳥を尻目に縄張りに入ってくる隣組を追いかけ回すシーンなど貴重な生態を記録する事ができた。もう繁殖が失敗して3週間が経った為、過去データとしてそれらのレポートをアップする。鹿児島を中心とする南九州は本州等に比べるとヤマセミの生育密度が非常に高いエリアだが、自然淘汰により決して繁殖が順調ではないと言う実態理解に少しでも役立てば嬉しい。
 
巣穴の見通せる針葉樹に陣取って巣立ちを促しているのか餌を咥えたままの親鳥。

巣穴自体は杉の木に隠れて見えないので最初はどの辺りにあるのか判らなかった。

巣穴から正面と思われる80m離れた高い針葉樹につがいが留まって監視する。この位置はちょうど観察中の筆者と巣穴と正三角形を描く位置に当たるようだ。

合歓の木越しに電線に留まって巣穴を伺う親鳥多分巣穴の見通しは良いのだろう。

縄張りの侵入者に対して威嚇する親鳥。物凄い連続音で鳴き続けた。

下の巣穴は昨年以前のモノ。実際の巣穴は右の杉の木立の裏に当たる。

巣穴へ餌を運ぶ親鳥、巣穴は意外に低い位置にあるのだろうか。これ以上近づけない環境なので確認は出来ない。

筆者の直ぐ目の前を朝陽を浴びながら給餌に向かうヤマセミの母親。

残念ながらこの繁殖はこの5月26日午後、途中で頓挫して終わってしまったが、それは観察を続けてこの2日後28日に親鳥の動きを観察して初めて判明したもの。非常にショックだった。