2015年12月19日土曜日

コウライアイサの観察 その2  採餌行動。 Observation of the Scaly-sided merganser. Part2.

 コウライアイサという野鳥はカモの仲間でも数少ない肉食系のアイサ(秋沙)族に分類されているようだ。だから視ていてカモと言うよりはウに近い動きだと思ったのだろうか?今日はそのコウライアイサの採餌の様子だろうと思われるシーンをアップしてみた。

 200m近い距離の行動なので、確実にこうだ!とは断言できないが、少なくとも口に銜えた小魚とその前のシーンを観てみると採餌行動だったのだという事が見て取れる。ウやカイツブリのように完全に水没して採餌する場合と、首だけ水面下に入れて激しく移動して採餌する場合と2つのパターンが撮れている。どちらが成功しているのかは判らない。

 川の中程の水深が深く、流れの速いところでの採餌は視られなかった。岸に近く浅い場所での採餌行動と思われる画像が多かった。

右の若オスが銜えているのは小さな餌だが、どの程度大きな餌まで採餌するのかは不明。

この日はほぼ同じ場所で3羽で固まっているうちに、いつの間にか採餌している場面が多かった。

重なって見えるが、超望遠なのでそのお互いの距離は数m離れていると思う。

此処からは別の日の3羽。曇天降雨のショットで少し暗い。

2羽が顔だけ水面につけて流れに逆らって移動。

魚の群れでも見つけたのか?いきなりスピードを上げて採餌。

このカットではアオサギの足元に採餌中のコウライアイサが見える。

 カモ類なのにウの動きをする変った野鳥だと思う。割りにジーッとしているように見える鴨類の中でもこのコウライアイサはやたらと動き回るか羽繕いしている。羽根に油を塗っているのか、はたまた寄生虫が多いのか?とにかく落ち着きが無い。

 このコウライアイサの行動が神経質そうに見えるのは、周りを警戒してナーバスになっているのとは全然違う、一種の性格の様なものだろうと思う。これが繁殖期近くになると更に動きが激しくなるのかもしれない。

 観察していて思ったが、野鳥観察者は珍しい野鳥に遭遇すると「~が出た!」と良く表現する。彼ら野鳥は普段其処に生息していて、今回のように渡り鳥がたまたま数日間滞在している場合は「飛来した」という表現だろうが、ヤマセミやヤマドリ等はいつも其処をテリトリーとしているので「出た!」のは実は人間の方なのだ。

 この辺り、大自然の営みの中で人間の方が不規則で、突然秩序を乱す生き物である事を自覚しなければいけないと思うが如何だろう?こうして遠くから人間の知恵で創られた「遠眼鏡=望遠レンズ」を使って車という「ハイド=自然界の生き物に警戒心を与えない装置」から観察をする事は野鳥観察の基本だと思う。

 おのれの望遠レンズの射程内では撮れないので、何とか撮影可能範囲まで近づいて撮りたい。気持ちは良く判るが、野生動物の警戒限界を超えて近づきすぎて、その場に居る全ての野鳥を飛ばしてしまい、元も子もない事態を引き起こす。その結果回りで観察している他の観察者に迷惑を掛ける・・・。

 こういったケースは今後も永遠に続くだろうが、野鳥観察は動物園にパンダを観に行くのとは訳が違う。充分な時間的余裕と充分な装置・設備、野鳥に対する接近方法の充分な経験を持って望みたいと思う。

 次回は、コウライアイサの若い雄と雌と思われる2羽の奇妙な追い掛け回しをアップしたい。