2016年4月2日土曜日

団塊世代が考える観光活性化「八代市の場合・その3」

 1週間前このブログが週末限定で始めた「団塊世代が考える観光活性化」へのリアクション・反応が思いのほか高く驚いている。それに関連したのか、2年前の正月に東京の街中で観察・レポートした正月飾り・門松の話がなぜか現在アクセスのトップになっている妙な現象が生まれている。

 先週末、土日にアップした八代市の認識・イメージ調査で「八代市と読めない人が非常に多い」「八代市のイメージに公害、鶴、有明海・・」がどうしても理解に苦しむというメールを数名の方から頂いた。調査方法がおかしいのではないか?とのご指摘も頂いたが、いずれも地元熊本県の方からだった。その次の日のブログに書いた通りそこに住んでいる方から見れば「ふざけるな!」という気持ちは非常に良く判る。

 ここに良い例えがある。特に熊本県内さらには八代市内にお住まいの方、あるいは九州圏内の方、東京在住の方でも良い、学生時代社会科や地理の成績が良かった方は別として、酒田、角館、大舘、能代、大曲、秋田の各場所や位置関係、そうして其処の名物(例えば秋田の竿灯祭り、大曲の花火大会)名所旧跡(武家屋敷・商人町)がお判りだろうか?いずれも東北の著名な観光名所だ。少なくとも熊本で言えば八代市よりはるかに有名で全国的に名の通った場所だ。
秋田エリアの観光地の位置関係、遠くに住んでいては、まずアバウトでしか認識していない。

 たぶんこのブログをお読みの皆様、半分も正確に認識されていないと思う。これを八代市に当てはめてみれば、アンケートの回答の上位に八代市が面していない有明海(八代市は不知火海・八代海に面す)が出てきたり、公害で有名になってしまった水俣市とごっちゃにしたり、鶴が大量に飛来する鹿児島県の出水市とすら混乱してしまうのは当然なのだ。ご自分で一度でも行ったことが有るか、もしくは寅さんなどの映画やドラマのロケ地で余程の強い認識が無ければ「大体この辺りだろう?」という程度の認知しか成されないという事なのだ。

 一度熊本県のメディア関係者から聴いた話では、熊本県内ですら北部在住の方は熊本県南のエリアに疎く、鹿児島県との県境がどうなっているのか、出水は鹿児島なのか熊本なのか良く判らないという人も多いという。その一つの表れに熊日新聞の購読部数が県北に偏っており、県南の購読数が極端に少ないという。県内ですらこういう状況なのに、はるかに離れた地域の方々に認知・理解してもらうにはよほどの情報発信PRが必要だろうと思うのだ。

 したがって、観光活性化を目論む自治体は、まず最初にこの八代市で行ったようなアンケートを行い、自分の居る場所が全国的にどのように認知されているかを首長さん含め「観光活性化担当者全員」で認識する事が重要なのだと思う。例えるならば鏡で毎日見ている左右が逆転した自分の姿しか知らないで、己の本当の魅力を判る訳がないのと一緒だ。それでは売り込めまい?

 この八代市から日本三大急流の一つ球磨川を遡った人吉市などは、色々な基本部分で工業都市の八代市とは全然異なる。この人吉市の場合はそれ程無理しなくても、莫大な観光資源があるにもかかわらず、今まで十分な活性化準備・対応対策を行ってこなかったので非常にもったいないと感じている。数年前地元の熱心な方の要請で当時の市長に2度ほど直接話をする機会があったが、残念ながら外部の者の話などに少しも耳を傾けては貰えなかった。

 基本的には現在の観光活性化予算で充分だと思う、要は知恵の使い方だ。新たな箱モノも不要、今ある観光資源の整理・情報発信と徹底だけで充分だと察する。きちんと観光活性化準備・対策行えば観光客の数は今の3倍は堅いだろう。但し、それを地元の方々が良しとするか否かは別問題だが・・・。これは東京からヤマセミの観察撮影で延べ30回以上往復し、滞在日数も200日を超える経験値から思う事なのだ。簡単に言えば人吉市は「宝の持ち腐れ」と言って良い。
左は今年のひな祭りPR物、右は2012年の国際航空宇宙展へのタイアップPR広告(A4)

 話を八代市に戻して2003年春に熊日新聞に掲載したタイアップ記事の第3弾をご紹介!
熊本市、菊池市、阿蘇市、人吉市などと違い、県内並びに中九州随一の工業都市八代市にはいわゆる観光的な名所旧跡はそう多くない。少し離れた日奈久温泉は全体的に昭和時代の景気の良かった時代の夢よもう一度!程度の期待待ちの雰囲気が漂うだけで、根本的な観光活性化をしようとする意気込みの無いエリアだった。
日奈久温泉の一角、レトロならレトロで徹底すれば大きな効果を上げるだろうと思うのだが・・・。

 農業生産物の中心的存在、イグサ(畳表の材料)、トマトに関しても造って安定供給をするJA農協の路線を突っ走るだけで、アイディアや工夫という変革を望まない気風だった。一度農協へお邪魔して話を色々訊く機会があったが、イグサ担当の方の中に「我が家は建て替えたばっかりで畳の部屋が一つも在りません!」等とニコニコしながら話す方がいたりしてびっくりしたことを覚えている。
トマトにしても全国一の生産量を誇りながら、当時テレビで取り上げられた「甘い塩トマト」のブランド化、PR活性化、大がかりな大量生産への試み・・もあまり進んでいないようで非常に残念だ。

熊日新聞に掲載したタイアップ記事の第3弾

熊日新聞連載シリーズ#3

八代市の新しい観光戦略は「カメラの被写体に恵まれた街、八代市」その1

昔は無かった竜峰山五合目展望台から見た球磨川三角州・八代市と天草に沈む夕陽。

 地元、八代市に長年住んでいると八代市の持つ素晴らしさに気がつかない事が沢山有る。たとえば「夕焼け」特に夏の夕方風の強い日の夕焼けは素晴らしい。雲が一つも無くても西の空が真っ赤になる事が多い。春先から真夏にかけて黄砂の影響はあまり歓迎されるものではないが、こと夕焼けに関してだけは素晴らしい効果をプレゼントしてくれる。
 関東甲信越や北国では雲ひとつ無い日の夕焼けは日没後太陽の赤から群青色の青空まできれいなグラデーションになるのが普通だが長崎や熊本では黄砂の影響で全天が真赤になる夕焼けを見る事ができる。
条件がよければ「幻日」といわれる太陽の光が空気中の水蒸気の屈折によって出来る「見掛けのもう一つの偽太陽」という珍しい気象現象を見る事もできる。

早春の球磨川にたつ川霧。非常に素晴らしい景色が展開する。

一方、ちょうど3月上旬の今頃は球磨川に発生する川霧が素晴らしい。川霧の発生する条件は、前日に気温が高く、早朝も快晴で放射冷却の冷え込みがあり、しかも、風がないこと。球磨川の場合は上流の峡谷から遥拝の瀬辺りへ押し出すように流れ出てくるものと河口付近に漂うように発生するものの二つが有る
こういった関東や関西ではなかなか巡り合えないシャッターチャンスが多い場所としての八代市の「新しい観光資源」を今後幾つかリストアップしていきたい。
市の商政観光課と八代観光協会では皆様からの「こんなモノが新しい観光資源に成るのでは?」という投書をお待ちしている