2016年5月27日金曜日

団塊世代の「旅」の満足、「おもてなし」とはいったいどのような事?その2. Exactly what it is the satisfaction of the baby boomers? Part2.

  酸いも甘いも嚙み分けられる団塊世代が満足できる「宿」の話の二日目。繰り返すが、金に糸目を付けない旅で満足を得ようとする方や、お金を無尽蔵にかけた行動こそが贅沢だと勘違いされている消費行動・比較評論中心に今までを生きてこられた方々には縁のない話と思って頂きたい。

 特にタイトルにもあるように筆者は「団塊世代」の特性を当事者として人一倍理解しているし、また筆者は団塊世代ベースの考え方でこのブログを書いている。したがって、中には少し世代が違うだけで「俺は違う!私はあんたとは全然考え方も生き方も価値観も違う!」という方が居て当然だろう。そういう多くの方々には、是非ご自分なりの考え方、価値観で「旅」をどのように自分自身で満足させているのか、ご自分自身で情報発信して頂きたい、ぜひお聴きしたいところだ。

 昨夜も、この団塊世代の実務クリエーター(=実業家ともいう)2名と、夜が更けゆくまでホタルの飛び交う山奥で裏を流れるせせらぎの音を聞きながら談笑した。有名な楽団のメンバーたちが、新しく招いたオーケストラの指揮者を悪戯を仕掛け、いたぶったつもりが、逆にコテンパンに叩きのめされたという、神津善行先生の受け売りの話から、税務署の横暴さやそれに対抗する実業者の苦労話など、ネタは尽きないが、やはり人のやらない事を努力して成し遂げる過程の醍醐味・スリル・快感は、何物にも代えがたいという話が多かった。歴史を積み重ねた団塊世代同士だからこそ瞬時に判り合えるのだろう。

 その中で、やはりカッコ良く在りたい、同僚・同期の他人とは一線を画した独自性・オリジナリティで目立ちたい!という本音も結構出てきた。「他人と同じじゃ嫌だ!」皆がVANを着るなら俺だけJUNを着ていたかった・・・。此の精神が脈々とこの実業家2名の生き様のベースに存在することを知ってとても嬉しかった。もう、こうなったら二人を応援者ちゃう!驚いたことに焼酎醸造元経営者は何と!阿佐ヶ谷美術学園で一緒だった事が判明!これって火に油?


 左から老舗焼酎醸造元兼アルコール・アナリスト、山と森林環境保護実践者。真ん中が老舗旅館・カフェ経営・建築プロデューサー、筆者。人吉で意気投合した団塊世代三バカ大将。このお二人の実務力と膨大な現場叩き上げ経験値にはとうてい歯が立たない!


 自分が知っているあらゆる人脈を使って、金を掛けないで、口先だけで中身(知恵と発想力とオリジナリティ)のない広告業界、特に代理店周辺の人種には一切立ち入らせないで応援できるもの。

 先日、NHKのプロフェッショナルで特集されていた旭川の請川博一君だって、スノボ業界、1995年頃からの長い付き合いだが、広告業界とは何の関わりあいもない。一緒にスノボをやり、大会運営をして、挙句の果てには長野オリンピックの競技役員で一緒に大会の裏方をやった仲だ。
 それが、いつの間にやら農薬散布のノーマルヘリの草分け的存在からドローン操縦に関する日本の礎を築いているという。

 彼が2年前の初冬、桜島火口をドローンで調査するという国交省の依頼で鹿児島に来たとき、無理を言って人吉に寄ってもらった。そこで、昨夜のメンバーの一人の経営する素晴らしい丘の上のレストランをドローンで空撮!同時に数年うちに撤去される予定の人吉城址の人吉市役所を城址と共に空撮しておいた。熊本地震で既に建物には立ち入り禁止だ!何という偶然?

 やはり世の中は「ご縁と幸運」で結ばれている。口先だけのビジネスではなく、中身の詰まった実務をできる人間達の「輪」が本物を生み出す世の中であることをやっと最近知った次第・・・。


話は替わって、「おもてなし」の話、少し長くなる。

「おもてなし」など、本来は憲法で言うところの基本的人権に等しい、当たり前の事。なんで今更あちこちで「おもてなし」を強調するのだろう?多分よほど今までおもてなしをして来なかったのだろう。

 このおもてなしで気に成っていたのが、日本の宿泊施設、レストラン等における酒飲み優先の風習・対応だ。基本的に世界中何処においても酒を飲めない人種は決して多くはない。
 その中で東洋人種で日本人だけはその20%、つまり5人に1人はアルコール分解酵素が無いという不思議な人種なのだ。これは生まれ持ったDNAがそうなっているのであって決して本人が悪いわけではない。

 しかし、古来日本では「会合では酒は飲むのが当たり前、人前で酒を沢山飲める人間を酒豪と称して褒める」妙な伝統が根付いていた。酒飲みはこう言う、「飲み会やコンパで飲めない奴はあまり見た事ない。」 
 当たり前だ、アルコール分解酵素の無い人間は基本的に酒飲みの宴会になど好んで行かない。割り勘負けは当たり前、飲み放題でリストに在るノンアルコールの飲料など、そこいらの自販機で買えるものばかりだろう?誰がそんな負い目を感ずる場所へ行くものか。マジョリティの酒飲み達はこれをまったく理解しないし、してこなかった。

 自分が歓送迎会の主役・ゲストだったり、己や家族、または同僚の冠婚葬祭、あるいは久しぶりのクラス会・同期会、クラブのOB会には出るが、それ以外の酒飲みがただ騒ぐ「宴会・飲み会」になどまず積極的には出ないモノなのだ。意中の彼女が居ればまた別かもしれないが、団塊世代であれば、それももう昔の話だろう?

 酒飲みと、飲めない人間が複数でレストランへ行ったりすると、酒飲みは、さも当然といった顔でアルコールを注文する。
 しかし海外では、同席者が日本人で酒を飲まないと判っている場合は「我々はワインを飲むが、貴方はノンアルコールの何を飲むか?」と訊いてくる。日本でも最近はそうなって来ている。「飲めない人を前にして悪いねぇー飲ませて頂くよ?」と一言あるのがやっと普通になって来た。しかし当然顔でアルコールを飲む人間もまだまだ居る。

 食事の流れも特に和食の場合は、酒を飲む事を前提に出るモノの順番が決められている。最後に締めとか言ってごく少量の食事が出る。いわゆる飲み屋に至っては御飯など無い場合が多い。しかし酒を飲まない人間は最初から白いご飯を食べたいのだ。酒飲みにとっての肴、つまみは飲まない人間にはあくまでおかずなのだ。この辺りの日本の食文化はまだまだだ。
 以前にもこのブログで書いたが、リゾートや高級レストランで売り上げ活性化の話に成った時、酒を飲めない客達も同等に扱い、ノンアルコールの飲料のバラエティをもっと増やすべきだ、そうすれば飲めない人間も引け目無く同席できるので、来店頻度が上がろうと提案した事があった。これは如実に売り上げ増につながり、一時期は飲食店の仕事依頼が相当増えたのを覚えている。担当しアドバイスした店やホテルは平均15%も売り上げが伸びている。

 と言う訳で、今日は昨日の続き。見えない部分に物凄い職業プロの思い入れと満足感が詰まった、たった5部屋の究極の宿をご紹介! 

 
照明器具には殊の外細心のセンスが見て取れる。必ず石素材とのマッチングに気配りだ。

寝室は和室の他にベッドルーム、会議室的談話室、朝食は其処で頂く。

洗面所のセラミックと木の丁合、横に置かれたロクシタンのヴァーヴェナ!唸ってしまう。

トイレのスリッパにオーストリッチの本物を使うって?どこまでこだわるのだろう。

 フロント横の談話コーナー、1962年に発表されたFLOS ARCOフロアライトに此処で出遭えるとは思わなかった。小田急ハルクの湯川さるんで散々観た作品だ。このコーナーすぐ隣にはまるで茶室の入口のようなバーの入口が。

男女の浴場は地下に存在する。

明治41年開業当時、掘った温泉になるべく近い場所でと考えたのだろうか?温泉があまり好きではない筆者でも1日2度入りたくなった、非常に趣のある「古温泉」だ。

 到着したお客様用に、最近言われる「おもてなし」の類か?此処では明治41年創業以来の「お決まり」なので、いまさらとって付けた様な
「おもてなしとは訳が違う、年季が違う。」