2017年7月21日金曜日

豪雨・洪水の際のヤマセミの生態。Ecology of the crested kingfisher in the case of a heavy rain and a flood .

 まだ不明者が7名見つかっていない今回の九州北部豪雨。被災者の方々にはお悔みとお見舞いと共に、一日も早い復旧・復興をお祈りする。
 
 実は、今から5年前同じ様な状況が熊本県北部であった。JR豊肥線が大破し、復旧に丸1年掛かった。その後昨年の熊本地震で再びあちこちがやられ、現在肥後大津⇔阿蘇間が完全に不通に成ったままで復旧の目途は立って居ない。其れだけ土砂崩れの危険にさらされる機会の多い九州で、ヤマセミが生き延びるのは並大抵の事ではないだろうと思う。

 元々、人の踏み入らない山奥の渓流でのみ生息する希少な野鳥と思われていたヤマセミなのだが、色々観察・研究してみたら海沿い干拓地の綺麗な農業用水路の中を飛び回って生活して居たり、人口3万人以上の市街地を流れる大きな清流でも人間と共存・共創しながら生息している事が判ったのは、このブログでも此処4年間お伝えしてきたとおりだ。

 しかし、大雨洪水・増水時の茶色く濁った川では一体どうしているだろうと、つぶさに観察したのが、この熊本県北部豪雨の2012年7月だった。10年連続日本一の清流になっ球磨川支流の川辺川でさえ、約2週間川の濁りは消えなかった。これは川辺川の更に上流部・支流五木川の崖崩れに寄るものだと聞いた。この時は上流から大木や5m四方の大きな木の根が流れて来たりして大変だった。

 今日はそんな中で見事に乗り切っていたヤマセミファミリーの画像をご紹介。撮影は2012年7月24日

右の2羽の親と左の一羽の幼鳥がこの時のファミリー。大雨増水でこの時流れて来た流木やゴミは半端ではなかった。

未だ巣立ってそう日にちが経って居ない幼鳥の一人っ子ヤマセミ。

左の脇に幼鳥斑の在る個体が幼鳥。

茶色く濁った川面を飛ぶヤマセミ幼鳥。

酷い環境ながら果敢に飛び回っていた。

 30分ほど観察したので筆者の顔を覚えたのだろうか、車を追い掛けて来た。せっかくだから窓から身を乗り出して真上の電線に留まった幼鳥を撮らせてもらった。良くノートリだと自慢する方が居るが、一切トリミングをしていないので、いわゆるそういう画像だ。しかし鳥は居るのにノートリとはこれ如何に?