2018年1月28日日曜日

団塊世代が東京都写真美術館のユージン・スミス展で学んだ事。 I learned something about photograph with Eugene Smith photo exhibitions at Tokyo Photographic Art Museum.

 1960年代まだ中学生の頃、父親から借りたドイツ製の蛇腹のカメラ、カールツァイス・スーパーイコンタで蒸気機関車を撮り始めたから、写真撮影歴だけは長い。団塊世代の皆さんは機種は別にしても写真歴だけは、ほぼ同じ様な歩みだろうと思う。
カール・ツァイスのスーパーイコンタ、まだ時々使っている。
 
ただ、最初に手にしたカメラがフジペットだったり、ニコンだったりキャノネットだったりあるいはコダック・インスタマチックだったりする違いだけだろう。冒険王や少年倶楽部の付録に在ったピンホール日光写真などは既にバカにしていた頃だ。
 しかし、筆者は蛇腹カメラからスタートし、その後も仕事で色々な物を撮影し実務としての撮影、仕事の道具としてのカメラやレンズを常に小脇にしていた記憶があるものの、芸術性に関してはまるで縁が無かった。

 したがって、自分が撮影した写真をコンテストに応募した事も無ければ、著名な写真家、カメラマンなどもほとんど知らなかった。広告代理店時代も同様。せいぜい仕事で携わったウインドサーフィーンやスノーボードという特殊な世界のプロ写真家とほんの少しの付き合いがあっただけ。何故かそういう人達は早逝してしまい、残念ながら今はもうこの世にはいない人が多い。
 そんな中、今日展覧会最終日前日に滑り込みセーフで観に行ったユージン・スミスさんは少しだけ知っていた。理由は彼が撮影したアルベルト・シュバイツァー博士の写真がCANONのアメリカ向けカタログ小冊子に数枚掲載されていたからだ。小学校時代伝記本で読んだシュバイツァー博士の画像を撮影したのがユージン・スミスさんだった。

中学校同期の友人(永年CANON勤務)にプレゼントしてしまった、CANONのアメリカ向けカタログ兼取り扱い説明本。

 2015年6月5日のこのブログで紹介したCANONのアメリカ向けカタログがそれだ。以下抜粋。
 「ここに1950年代のCanonがUSA米国で販売していた機種のハードカバーの説明マニュアルが有る。2機種の取扱説明書であり、撮影に関するアドバイス、実例まで入れた立派なモノだ。Canonが如何に米国でそのメーカーとしての信頼度を得ようと努力していたか判るものだ。今の1億総カメラマン時代に有っても、この様な手厚い、解りやすい説明書を付けるのがメーカーとしての本来の姿ではなかろうか?」

まさに今日観たユージン・スミス展にこの作品が展示されていた。CANONのカタログに使用される程なのだから、ユージン・スミスさんはこのカメラで撮影したのだろうと思う。

同時に第二次世界大戦末期の戦場での画像をいくつか観て、彼の名を知ったのだった。全てモノクロ写真だったが、訴えている内容が説明なしで伝わって来る迫力は非常に印象的だった。

 但し、自分が撮影しているウインドサーフィンのイベント写真や、現在生態撮影しているヤマセミ研究のデータ画像などとは、あまりにかけ離れた世界なので、ご縁は無いと思い込んでいた。

 しかし今日、東京写真美術館へ行ってユージン・スミス展を観て、「写真というモノの持つ伝達力は実に凄いのだ!」という事を非常に強く感じ取った訳だ。何か非常にすっきりした気分で写真美術館の展示室を出た。


ところが、展覧会は最高に良かったのだが、此の恵比寿に在る東京写真美術館の酷い事!あまりに来場者=お客に対する対応が成っていない。
 まずロッカー!デイパックや展示室に持ち込めないモノを保管する来場者用ロッカーなのだが、各扉に使用方法の説明書きが一切ない!まるで共同の納骨室の様だ。
まるで共同納骨堂の様だ。

デザイン的に洗練されているとでも思ってそうしているのかもしれないが、老夫婦と思しき二人と外国人3名が、幾ら物を入れてカギを回しても掛からない。壊れているとクレームを付けに行ったが埒が明かない。何と説明書きは扉をいったん開けて扉の内側を見ないと判らないのだ。
 美術館の職員は毎日開けるだろうから判るだろうが、初めて使用する来場者には物凄く判りにくい!不親切極まりない。

 美術館のロッカーは100円を入れて使用して、使用が終わってモノを取り出すと100円玉が戻って来るくらい誰でも知ってる。ところがその説明書きが白い扉の表側には一切何も表示されていないのだ。見た目の綺麗さより使い勝手の良さを優先すべきだろう?

 来場者はまず最初にロッカーに行ったら何をする?空いているロッカーがどこかに無いか探すのだ。まず取り扱い説明を読もうとはしない。だから何処か一か所に説明書きを掲げても見やしないのだ。

 そういう意味からは最低の美術館設備だといえる、情けない。

 次に今回特に不親切なのが展覧会図録販売だ。展示場では2カ所に2冊づつ見本の図録が手に取って見られる様に置いてあるが、いずれも2Fのミュージアムショップで販売していると宣伝している。

 勿論筆者も欲しいので2Fまで上がってショップへ行った。しかしそこで観たものは現在品切れ中で、予約すれば2月下旬に手に入るという表示だった。そこまで来ないと品切れ状態の事が判らないのだ。

其れならそうと展示室のサンプルにそう表記すべきだろう?展示室は地下1F、ショップは地上2F、そうして入場口は1Fなのだ、いったい何度来場者を上下させようというのだ。バカにするなと高齢の女性が食って掛かっていたが、もっともだと思う。頭の悪い、サービス精神に欠けた東京写真美術館長並びに幹部に猛省を促したい。